連日ワイドショーや報道番組、ネット記事をにぎわしている『ジャニーズ問題』━━。
9月12日、サントリーHD社長で経済同友会トップでもある新浪剛史氏が定例会見で行った、
「本当に真摯に反省しているのかどうかが、大変疑わしい。名前もそのまま残ることも、どうお考えになるのか。サントリーとしても経済同友会代表としても、大変、これは遺憾である」
「ジャニーズタレントを広告起用することはチャイルドアビューズ(子供への虐待)を企業として認めることになる」
という発言をきっかけに、“新浪ショック”とも称されるスポンサー企業のジャニーズ離れが加速し、芸能界からもジャニーズ批判を行う声が目立ち始めるようになりました。
逆風が吹き荒れる中、ジャニーズ事務所は10月2日、2回目となる会見を開き、
・ジャニーズ事務所は『SMILE-UP.(スマイルアップ)』の新社名に変更。
・同社は被害者の救済、補償に特化し、補償が終了後に廃業。
・一方で、タレントとのエージェント契約を結ぶ新事務所を1カ月以内に設立。(若手については所属することも可能)
・藤島ジュリー景子氏は出資、運営などに一切関わらない。
・“ジャニーズ”という名称とは完全に決別。(「関ジャニ∞」「ジャニーズWEST」のグループ名や、スター予備軍の総称として親しまれていた「ジャニーズJr.」の呼び名、関連会社名も変更)
などを発表しましたが、
「新会社に所属タレントを移したら結局、今の事務所が存続することとほとんど変わらない。本来は所属タレントを他の芸能事務所に移籍させ、事務所の芸能活動をなくすべきだ」
「補償のための会社名を『スマイルアップ』とは、葬式に白い服を着て行けというようなもの。被害者をばかにしている」
など、まるで揚げ足でも取るかのような批判の声が止むことはありませんでした。
そんな中、国際連合人権理事会の特別報告者である小保方智也氏が10月4日、自身のX(旧Twitter)に次のようなPOSTを行いました。
ビジネスと人権の観点から今後問われなければならないのは、今まで見て見ぬふりをしてきたとされるメディア、芸能界とスポンサー企業の責任です。手の平を返したようにジャニーズ事務所を責めるのは誠に無責任。自覚を持って今後行動して頂きたいものです。
— UN Special Rapporteur Tomoya Obokata (@TomObokata) October 3, 2023
●国連人権理事会はジャニーズ問題を知っている
国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会は7月24日~8月4日の日程で初めて来日。
日本政府や企業が人権をめぐる義務や責任にどう取り組んでいるかを調査する一環で、ジャニーズ事務所の創設者・故ジャニー喜多川氏の性加害問題についても関係者から聞き取りを行っています。
【参考】訪日調査の結果報告書
国連人権理事会の「ビジネスと人権」作業部会の調査は、企業や自治体だけでなく福島第一原発の元作業員や技能実習制度の外国人といった幅広い対象を取り上げていますが、8月4日に行われた記者会見では、質問がジャニーズの性加害問題についてばかりだったため、国連人権理事会のメンバーが苦笑し「他の問題についても質問してください」と記者団に注文をつける一幕も…。
もちろん性加害が重大な人権侵害であることは言うまでもないことですが、それでもなおジャニーズ問題についての質問が続き会見は終了しています。
国連人権理事会の目には、日本のマスメディアが奇妙なものとして映っているのではないでしょうか。